がん性の痛みは生体に悪影響を及ぼし、免疫が低下するとともにがんの増殖を助長させますので、痛みを和らげ飼い主様の傍で生活が出来るように支えてあげるためのケアを行います。
支持療法と緩和療法
支持療法および緩和療法とは、がん患者の生活の質(QOL)を向上させるために行う治療であります。
抗がん剤による副作用としての消化器症状、貧血および免疫低下(白血球数の減少)および腫瘍による痛みの軽減も含めた対症治療がこれにあたります。
主なペインコントロール薬
がん性疼痛は、内臓や神経への圧迫あるいは浸潤、骨への転移、血管への塞栓による痛みなどがあります。
また、2次的な痛みとしては、化学療法などの副作用、手術後の疼痛など様々な痛みを伴います。
1)非ステロイド性抗炎症薬
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)はシクロオキシゲナーゼ(COX2)を阻害して内因性の痛み物質の1つであるプロスタグランジンの産生を抑制する。
COX2を選択的に阻害する薬物としては、カルプロフエン、メロキシカム、フィロコキシブやロベナコキシブがあげられます。
適応症例としては、痛みが軽度~中程度な腹腔内、胸腔内に効果がある。
副作用として胃腸障害がありますが、消化管内の出血、腎不全、肝障害や血小板減少を伴っている場合は、投与を避けた方がよいでしょう。
2)オピオイド
オピオイド鎮痛薬物は、オピオイド受容体(μ、κ)に作用する薬物である。
オピオイドには麻薬性のモルヒネ、フェンタニル、レミフェンタニルおよび非麻薬性であるブトルファノール、ブプレノルフィン、トラマドールがあります。
麻薬性のオピオイドは、中等度~重度の痛みに使用され、用量依存性に鎮痛効果が得られます。
それに対して非麻薬性のオピオイドは、鎮痛作用が弱く天井効果(有効濃度に対していくら量をあげても効果がない)があるため軽度~中程度な痛みに有効であります。
オピオイドの副作用としては、注射投与で徐脈や嘔吐などの消化器障害を呈します。
嘔吐などの消化器症状が認められた場合は、経口投与に変更して下さい。
重篤な副作用が発現した場合は、オピオイドの拮抗剤であるナロキソンを投与すると良いでしょう。