血液透析とは、専用のカテーテルを通して体から抜いた血液を透析器(図1)に通し、きれいになった血液を再び体に戻す治療法です。
(図1)動物用血液透析器 NCU-A(リーフインターナショナル)
透析器にはダイアライザーという装置があり、この回路の中を血液が通ると血液中の老廃物や余分な水分を除去されます(図2)。
(図2)血液透析回路の模式図
血液透析療法の主な治療対象は、短期間で進行する腎機能障害(急性腎不全)です。
急性腎不全は様々な原因で起こりますが、点滴など通常の治療で改善しない場合は、血液透析が極めて有効です。
血液透析を実施する場合は、体から血液を抜くルート(脱血ルート)と、体に血液を戻すルート(返血ルート)を作る必要があります。
犬や猫では、一般に首の静脈に透析用カテーテル(ダブルルーメンカテーテル)を挿入することで、この2つのルートを確保することができます(図3)。
(図3)頸静脈に設置した透析用カテーテル
血液透析は一日3時間程度行い、腎臓機能が正常に回復するまで、それを毎日繰り返します(図4)。
(図4)血液透析の実施風景
おとなしい犬や猫では、無麻酔で実施可能ですが、薬による鎮静や軽い麻酔が必要になることもあります。
血液透析療法は、人医療では広く一般に行われている治療法ですが、犬や猫で血液透析を行える施設は限られています。
急性腎不全は早期に適切な対応をしないと命にかかわる病態です。重症の場合は当センターに早めにご相談ください。